熊本保健科学大学周辺河川の薬剤耐性大腸菌の分離・検出とゲノム情報解析○黒田 SG(緒方 涼日 西郷 優李 髙野 真帆 中島 布貴 永田 里奈 平田 夕姫)1 黒田 誠 1目 的本大学周辺にある河川の薬剤耐性大腸菌の有無を確認し、セフェム系耐性菌の分離・検出を行うと共にゲノム情報解析を行って汚染状況の実態を把握する。方 法<分離・検出> 025 年 5 月中旬の坪井川 4カ所、井芹川 4カ所、そして両河川の合流地点 1カ所の計 9か所で採水した。総大腸菌数はコンパクトドライ EC、セフェム系耐性はクロモアガー ESBLで評価した。分離菌株を個別にゲノム解析予定。<ゲノム情報解析>河川水を 0.22㎛濾過フィルターで細菌以上を回収し、0.1/0.5 mmビーズで菌体を破砕した(1500 rpm,10 分)。今後、採水サンプルのメタゲノム解析の予定。結 果以下、各サンプルから大腸菌を分離することができた。坪井川の総平均大腸菌数 : 216(0 ~ 372)CFU/ml,(推定)ESBL産生大腸菌 : 16 CFU/50 ml(JR熊本駅前); 井芹川の総平均大腸菌数 : 322(292 ~ 356) CFU/ml,(推定)ESBL産生大腸菌 : 9 CFU/50ml(西廻りバイパス横). 熊本北部浄化センター排水口の 1㎞下流からは大腸菌は検出されなかったが、4㎞下流から大腸菌が検出された。考 察川の水は透き通っていたらきれいだという先入観を持っていたが、今回の調査で川を見る目が変わった。坪井川河川水(JR熊本駅前)の(推定)ESBL産生大腸菌の検出が最も多く、その上流で発生する原因への改善・対策が必要と示唆された。一方、井芹川の総大腸菌数は大きな変化はなく、(推定)ESBL産生大腸菌の検出も坪井川に比べ低かった。しかしながら、大腸菌以外(Klebsiella, Aeromonas 等)の ESBL産生菌の増加が確認され要検討と考えられた。今後、分離株ゲノム情報および河川水メタゲノム情報解析を実施し、総合的に大腸菌の薬剤耐性について詳細を発表する。(Limitation: 2025 年 5 月の 1 回採水であるため年間を通しての調査成績ではない。) 1 熊本保健科学大学 保健科学部 医学検査学科 44P 014
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